自動車事故対策機構、JNCAP(自動車アセスメント)の衝突試験を公開
2012-01-20 14:10
浦整骨院
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自動車事故対策機構(NASVA)は、茨城県つくば市の日本自動車研究所で、現在市販されている自動車等の安全性能について試験による評価を行う「自動車 アセスメント(JNCAP:Japan New Car Assessment Program)」および、チャイルドシートアセスメントを報道機関向けに公開した。

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 今回は、これまでのオフセット前面衝突と側面衝突試験に加え、ISO FIX(共通取り付け金具)を使用したチャイルドシートの衝突実験、今年から本試験となった歩行者脚部保護性能試験など、計4種類のテストが公開された。 なお、当日は試験の様子のみが公開され、評価結果については4月25日に改めて発表される。

 また、2011年度より乗員および歩行者の交通事故実態を勘案し、自動車の総合安全性能評価をこれまでの1つ星〜6つ星から、1つ星〜5つ星と得点で評価されることとなった。

 「スターレイティング」(☆評価)については、乗員保護性能評価を100点満点、歩行者保護性能評価を100点満点、シートベルトリマインダー評価8点 満点の計208点満点で5段階評価する。110点未満は1つ星、110点以上130点未満は2つ星、130点以上150点未満は3つ星、150点以上 170点未満は4つ星、170点以上を5つ星とする。さらに最高評価となる5つ星の追加条件として、それぞれの衝突試験および歩行者脚部保護試験でレベル 3以上が必要(後面衝突試験は2012年からはレベル4以上が必要)となった。なお、個々の評価については新旧の評価で同じ点数で比較できるとしている。

■オフセット前面衝突試験
 最初に行われたのは、運転席と後部座席にダミー人形を乗せ、64km/hで車体前部の40%を障害物を模したアルミハニカムに衝突させるというもの。ダ ミー人形は、以前は成人男性型2体を前席左右に搭載していたが、2009年より1名を助手席側後席に移動し、成人女性型のダミーに変更している。

 試験車両には、2011年5月に発売されたトヨタ「プリウスα」を使用した。グレードは「S」で、フロントエアバッグ、サイドエアバッグ、サイドカーテ ンエアバッグを標準装備している。排気量は1,797cc、車両重量は1,450kg。駆動方式は2WD(FF)で、乗車定員は5名。なお、この試験には ハイブリッドカーのプリウスαが使用されたため、感電保護性能試験も行われた。

 感電保護性能試験とは、ハイブリッドカーや電気自動車(EV)でのフルラップ衝突試験とオフセット前面衝突試験、側面衝突試験で実施される試験で、衝突 時の「感電保護性能要件」「高電圧バッテリー(RESS)の電解液漏れの有無」「高電圧バッテリー(RESS)の固定状況」に加え、高電圧自動遮断装置が 装着されている場合には、その作動状況も評価される。なお、感電保護性能の評価は2013年までは車室内のみ、2014年以降は車室外でも行われると言 う。感電保護性能試験では、すべての要件に適合した場合はパンフレットに「SAFE」マークが表示されることになる。

 評価は、前後席それぞれのダミー人形の頭部、頸部、胸部、腹部(後部座席のみ)、下肢部に受けた衝撃や室内の変形をもとに、乗員保護性能を5段階で評価 するもの。評価には、欧米等の自動車アセスメントで用いられている換算関数を用いて、各部位を4点満点で点数化、各部位の車体変形量0〜-1点を足した上 で、事故実態を踏まえた重み係数を掛け合わせ、12満点中6点までをレベル1、それ以上から満点までの間を4等分してレベル2からレベル5の5段階で評価 する。

 試験車の加速には試験場の床に設置されたカタパルトを用い、クルマのイグニッションをONにし、ガソリンは入れずにダミー燃料を満タンにした状態で試験 は行われた。衝突の状態は高速度カメラで撮影するため、車両は複数の照明に照らされていた。場内放送でカウントダウンが始まると、カタパルトの音が場内に 響き、大きな衝突音とともにプリウスαがアルミハニカムに激突した。衝突時の速度は64km/hで、車体は一度つんのめるようにリアが持ち上がったあと、 左にはじき返されて静止した。オフセット衝突とはいえ、フロント部分はほぼ原型をとどめないほどに破壊された。

 クルマが静止すると、まずボディー下部に油脂類やバッテリー電解液が漏れてないか確認してから、各所の損傷度合いを係員が撮影、記録する。また、トラン クルームを開けて、後部座席下にある高電圧バッテリーがきちんと固定されているかを確認、トランクに設置してある計測機器をPCに接続して、ダミー人形や 車体各所のセンサーからの情報をPCに吸い上げる。なお、高電圧自動遮断装置については、リアフェンダー部に専用のLEDを備え付け、そのLEDが消灯し ていることで自動遮断が正しく行われていることが確認された。

 次に、乗員の救出が試みられた。運転席ドアはフロント部分の変形によりスムーズには開かないが、係員が力を入れることで開けることができた。また、車体 の変形によって乗員が挟み込まれていないか、シートベルトの引き込み量なども確認され、乗員を無事に救出できることなども確認された。

■ISO FIXチャイルドシート前面衝突試験
 続いて、別棟に移動してISO FIX(共通取り付け金具)チャイルドシートの前面衝突試験が行われた。チャイルドシートは台車に固定され、その台車を55km/hで打ち出すことで、自 動車が前面衝突したときと同様の衝撃を発生させるというもの。試験に使用されたチャイルドシートは、2011年7月に発売された乳児/幼児用タカタ 「taka04-i fix」で、体重18kgまで対応する。

 チャイルドシートには、3歳児程度の身長95cm、体重16kgのダミー人形を搭載。そのときのチャイルドシート取り付け部の破損状況や、ダミーの頭部 や胸部に加わる合成加速度、頭部の前方への移動量、ハーネスやシールドなどの拘束によってダミーに与えられる加害性などを計測する。

 これらの結果を3段階または2段階で評価し、それに基づく評価を「優」「良」「普通」「推奨せず」の4段階で表す。なお、衝突時の頭部の移動量と衝突によって頭部に生じる合成加速度は、新基準による評価値となっている。

 台座にはほかの試験同様にデータ収集用の機材が搭載され、チャイルドシート試験では台座を高圧のエアシリンダーで打ち出して試験を行う。また、ほかのテスト同様、試験は高速度カメラで撮影するために複数の照明に照らされる中で行われた。

 なお、写真では見えないが、子どもの頭部にはマーキングがしてあり、衝撃による移動量も分かるようになっていると言う。打ち出した台車が止まると、まず 係員が各部の状態をカメラ撮影して記録を行う。そのあと台車ごとを元の位置に戻して、PCに接続してデータの吸い上げを行い、高速度カメラでの撮影画像を 合わせて評価が行われる。

■歩行者脚部保護性能試験
 今回から本試験に追加されたのが、歩行者の脚部を保護する性能をテストする歩行者脚部保護性能試験。バンパー下端の高さが425mm未満のクルマに適用 される。試験車両は、2008年10月に発売されたスズキ「スプラッシュ」。フロントエアバッグとサイドエアバッグ、サイドカーテンエアバッグを標準装備 する。排気量は1,242ccで、車両重量は1,050kg。駆動方式は2WD(FF)、乗車定員は5名となっている。

 試験は、大人の男性の脚部を模したダミー「脚部インパクタ FLEX-PLI」を衝撃装置に試験車のバンパーに向けて40km/hで発車し、脚部の各部分での障害値を計測する。このインパクタは日本が主導で開発 し、アメリカのダミーメーカーで生産している。外部に巻かれたカバーで肉部を、インパクタの中にあるグラスファイバーの芯で骨の曲がりを再現していると言 う。この脚部インパクタは現在、国際的な使用が検討されているとのこと。

 脚部の障害値を計測する場所は、試験車によって2〜6個所と異なっている。評価には、3分割した各試験エリア内でもっとも障害値が高いとい思われる1点 または2点を選定し、試験により得られた障害値を得点化して4点満点中2点までをレベル1、それ以上から満点までの間を3分割してレベル2からレベル4の 4段階で評価する。

 この試験は国の基準導入に先駆けて評価を開始したもので、国の基準導入後は試験速度を1割増しの44km/hにすることを検討していると言う。なお、イ ンパクタを脚部だけにし、クルマではなくインパクタをクルマにぶつける方法を採っている理由については、試験の再現性を重視した結果としている。

■側面衝突試験
 最後に、ふたたび大型の試験施設に移動して、前面衝突に次いで障害程度の大きな衝突形態とされる側面衝突の試験が行われた。

 試験では、運転席側にダミー人形を乗せた静止状態の試験車の運転席側に、乗用車の前部に見立てた一般的な乗用車と同様の堅さを持つアルミハニカムを付け た、950kgの台車を55km/hで衝突させるもの。この台車衝突時に、ダミー人形の頭部、胸部、腹部、腰部に受けた衝撃をもとに、乗員保護性能が5段 階で評価される。

 試験車両は、2011年1月に発売されたアウディ「A1」で、グレードは1.4 TFSI スポーツパッケージ。フロントエアバッグ、サイドエアバッグ、サイドカーテンエアバッグを標準装備する。排気量は1,389cc、車両重量は 1,190kg。駆動方式は2WD(FF)、乗車定員は4名。

 アルミハニカムを付けた台車は、オフセット前面衝突試験と同様に試験設備床面に設置されたカタパルトで加速し、カウントダウンとともに試験車に衝突。す ると、場内に大きな衝突音が響き、試験車の側面には巨大な凹みができ、試験車は衝撃で大きく動いて停車した。試験車が完全に停止すると、ほかの試験と同 様、係員による記録撮影が始められる。トランクルームには各種計測機器が搭載され、車体やダミー人形の衝撃データなどが記録されている。試験車で計測した 値をPCで解析するのはもちろん、台車でも衝撃などが計測されこちらのデータもPCに吸い上げられ、試験車の各種データとともに解析されると言う。

 最後に質疑応答が行われた。自動車アセスメントと国土交通省による認可時の審査を同時に行えないのかという質問が挙がったが、国土交通省での審査は市場 に出る前の試作車によるもので、市販車を使った自動車アセスメントとは性格が違うものであることが説明された。審査では、必要最低限の安全性が確保できる かを試験し、それをクリアできないものは世の中に出してはならないというものに対し、自動車アセスメントではより高いレベルで試験をして安全性能を評価す るものであるため、同時には行えないと言う。

 また、すべてのクルマで自動車アセスメントと同様の試験を行えないのかという質問には、「国土交通省の審査ではクルマに条件の厳しい、一番性能のわるい 部分のテストを行うものに対し、自動車アセスメントではユーザーのニーズにマッチするという観点で、世の中の売れ筋で、ユーザーに購入されているクルマを ピックアップしてテストするという目的などが異なるため、一緒にはできない」と解説された。




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