皆既月食が最後の夜に 空手兄弟襲った悲劇
2011-12-25 11:24
浦整骨院
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【衝撃事件の核心】兵庫県加西市の県道で今月10日夜、市立北条小6年の生田敦弘君(12)、同小2年の汰成(たいせい)君(8)の兄弟が皆既月食を観測 しようとした帰りに軽トラックにはねられ死亡した。県警加西署は自動車運転過失致死傷容疑で、軽トラックを運転していた同市下万願寺町の建築業、小(お) 池(いけ)巧容疑者(53)を現行犯逮捕。呼気から1リットルあたり0・4ミリグラムと基準を大幅に上回るアルコールが検出されたため、同致死と道交法違 反(酒気帯び運転)の疑いで神戸地検社支部に送検し、飲酒の経緯などを調べている。捜査関係者によると、小池容疑者は事故前に市内の複数の飲食店で“はし ご酒”していたとみられるという。飲酒運転による交通事故は、なぜ一向になくならないのか。(桑村朋、中川三緒)

 ■一瞬の出来事

 兄弟はこの夜、母親の伊津子さん(36)らと皆既月食を見ようと、事故現場前の空手教室の男性指導者(41)宅を訪れていた。指導者が体調不良だったので帰宅するため道路へ出たが、車のキーを忘れた伊津子さんが指導者宅へ取りに戻った間に悲劇は起こった。

 ちょうど上空では月が地球の影に全て隠れる皆既状態になっていた午後11時5分ごろ、小池容疑者の運転する軽トラックが指導者宅前にいた兄弟に突っ込ん だ。汰成君はガードレールと軽トラックに挟まれて頭などを強く打って即死、敦弘君も指導者宅と県道の間の溝に転落して全身を強く打ち、約1時間後に死亡が 確認された。

 捜査関係者によると、小池容疑者は事故当日の午後5時半ごろ、加西市内の知人の飲食店を訪れて酒を頼んだが営業前で断られたため、市内の別の飲食店で酒 を3杯飲んだという。さらに近くのスーパーで購入したワインを行きつけのスナックに持ち込んで飲んだ後、ハンドルを握って帰宅途中に事故を起こしたとみら れる。

 小池容疑者は逮捕後の調べで「酒を飲んで運転したが、子供に衝突した覚えはない。ガードレールにぶつかったと思った」などと供述した。調べを進める県警の捜査関係者は「幼い兄弟の命を一瞬で奪ったのに、反省の色もない」と憤りを隠さない。

 ■優しかった兄弟

 亡くなった兄の敦弘君は「優しすぎるので、もっと積極性を」と伊津子さんに勧められてグローブ空手を始めた。空手教室に熱心に通い、全国大会で優勝する ほどの力をつけた。1学期の終業式では全校児童の前で表彰され、はにかみながら壇上でチャンピオンベルトを見せていたという。理科の授業で皆既月食が紹介 された際には「僕も見に行きたい」とうれしそうに話し、宇宙への興味をふくらませていたと学校関係者は振り返る。

 弟の汰成君も兄の背中を追い、空手に打ち込んだ。集団登校で下級生に声をかけるなど優しくてよく気のつく子で、冬休みを目前に控えて「(かけ算の)九九が覚えられた」と喜んでいたという。

 皆既月食の鑑賞は敦弘君が伊津子さんに「見に行きたい」と提案し、汰成君もついて行った。敦弘君は指導者宅に向かう途中、学校の天体図鑑で得た知識を伊 津子さんと汰成君にうれしそうに披露していたという。その図鑑は教室の敦弘君の机に広げられたままになっており、12日に登校してきた同級生らは深い悲し みに包まれた。事故から10日以上過ぎた現場でも、兄弟の死を悼んで花束や菓子が供えられている。

 ■なくならない飲酒運転

 悲劇が繰り返されてもなくならない飲酒運転。平成11年11月には、東京都の東名高速で飲酒運転のトラックに追突された乗用車が大破し炎上。乗っていた 女児2人が焼死、運転手の男性会社員も全身に大やけどを負う事故が発生した。これを受けて13年12月に刑法が改正され、危険運転致死傷罪が新設された。 アルコールや薬物を摂取した状態での運転で人を死なせた場合、法定刑の上限が20年に引き上げられた。

 しかし、厳罰化にもかかわらず18年6月には福岡市の海の中道大橋で、飲酒した元市職員運転の乗用車が多目的レジャー車に追突して博多湾に転落させ、 乗っていた幼児3人を水死させた事故が発生。最高裁が今年11月、業務上過失致死傷罪を適用し懲役7年6月を宣告した1審判決を破棄し、元市職員の危険運 転致死傷罪を認定し懲役20年の実刑が確定するなど、飲酒運転への目はこれまで以上に厳しくなっている。

 そんな矢先に起きた今回の事故の現場周辺では、電車や路線バスなどの公共交通もなく、タクシーもあまり通らない。県警によると、自宅から繁華街まで距離のある地域では飲酒運転が常態化しているケースが多いという。

 ■酒類提供者への罰則は

 19年には道交法が一部改正され、飲酒運転者に酒類を提供した飲食店などにも3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されるようになったものの、飲酒運転撲滅の成果は期待されたほどには上がっていないようだ。

 酒類提供罪を立証するためには、ドライバーが飲酒後に運転することを提供者側が知っていたことの証明が必要。だが、捜査関係者によると、店側が客に気が ねして車を運転して来たか確かめないため立件できないケースが多いという。客に必ず飲酒運転をしないよう呼びかけるという加西市内のスナック関係者は「う ちへの客は減り、(飲酒運転を)見て見ぬふりをする店はもうかっている」と悔しそうにもらした。

 県警は今回の事故を受け、飲食店に対する指導や取り締まりを強化。加西市でも西村和平市長が悪質・危険な飲酒運転は絶対に許されないとする「加西市飲酒運転撲滅宣言」を発令し、市議会で飲酒運転撲滅に関する決議案が可決され、全市を挙げて取り組むことを改めて確認した。

 ■被害者の無念の思い

 事故から1週間たった今月17日、兵庫県加古川市の斎場で兄弟のお別れ会が営まれ、同級生ら約600人が参列した。参列者によると、兄弟の早すぎる死にすすり泣く子供も多く見られたという。

 伊津子さんは「2人は寂しがり屋。悲しませないよう、どうか忘れないでやってください」とあいさつした後、両手を握りしめたままこう訴えた。「事故は最 低限のルールを守れば防げた。飲酒運転による事故で命を落とす人がいなくなってほしい。私たちの悲しみは計り知れません」。

 忘年会シーズンの中、今回の事故後も道交法違反(酒気帯び運転)などの容疑で逮捕されるドライバーは各地で後を絶たない。飲酒運転事故の被害者や遺族の無念を一人ひとりが受け止めねばならないだろう。



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